NPO法人かごしま子どもと自然研究所

『わたしのワンピース』を探しに

2022/04/27

日頃、森のスタッフは、保育士でも教師でもなく『インタープリター』として、子どもたちに寄り添っている。インタープリターとは、本来、日本語から英語へというような、異なる言語どうしを変換してコミュニケーションを促進するinterpret~通訳する~人、通訳者のこと。多くの環境教育の現場では、自然や生きものと子どもたちとの間を橋渡しする役割を担うという意味で、このインタープリターという呼称を使う。何かを教える教科書でもなく、思いや感情がのった読み物である必要もなく、ただただ自然や生きものから発せられるメッセージを、写し現したり、時には子どもたちの心や頭の中のものを映し返して、当事者に分かりやすくフィールドバックする…例えるなら、常に手に届くところにある、何でも写したり映したりするまっさらな白い紙、みたいな存在。

今日は、絵本『わたしのワンピース』をモチーフに、オリジナルフレームを作って、森の中にワンピース柄を探しに出かけた。読み聞かせが終わり、絵本にでてきたのと同じうさぎのワンピース型のフレームを配ると、子どもたちはさっそく花やコケや石や木の元へ走っていく。それぞれが思い、感じるままに、素敵なワンピース柄を次々と見つけていく。『ステキね~』『それいいね~』『かわいいね~』。今日のインタープリターは、ママとパパ。そこには、難しい知識も正しい答えも必要ない。大切なのは、子どもたちの隣にまっさらな紙として常に寄り添っていること。レイチェル・カーソンの著書【センス・オブ・ワンダー】にもあるように、子どもたちが『わぁ✨』と目を見張るような瞬間を、隣にいて共有し、話をきき、共感し、彼らが感じたものを映し出してやればいい。

森の子どもたちは、日々、自然とのこんな時間を、友だちやインタープリターと重ね、感性をより豊かなものへと昇華させていく。そのうち、インタープリターやツールなどなくても、自力で自然からのメッセージを理解できるようになる。それはまさに、通訳者なしでも日本語と英語を流暢にやりとりできるような、自然を深く理解し自分事にできる、小さなインタープリターの誕生でもある。

明日はアースデイ。子どもたちはそんなこと知らないけれど、今日も明日も明後日も、自然や生きものと対峙して、世界を見る目を広げ、己のセンス・オブ・ワンダーにますます磨きをかけていく。

6人、子供、立っている人、アウトドアの画像のようです

2人、立っている人、自然、木の画像のようです

バラの画像のようです