NPO法人かごしま子どもと自然研究所

正しく怖がること(キッズクラス)

2020/09/10

台風10号によって損壊したシェルターテントの下で、灰雨を被った非常用飲用水を片付けていたときのこと。『この水は何かあった時、みんなで飲んでいい水だよ』と子どもたちに改めて説明しながら、(『はて?スタッフに何かあって子どもたちだけの状況になった時、この硬いペットボトルのキャップを、3歳児が本当に自力で開けられるだろうか?』とふと不安がよぎったのだか、即『いや、きっと君たちなら何とかするね!』)と確信。しかし、台風を無事にやり過ごし、まだまだ生々しい傷痕や緊張感残っている今こそ絶好の機会と、今日は練習用ペットボトルを森へ持ち込んで、実際に子どもたちだけで開けて飲めるかやらせてみることに。条件は3つ。①キャップは開けない(キャップが開かない場合を想定する)、②森にある道具なら何を使ってもよい、③開ける時や飲む時に、ロスする量がより少ない工夫をする。お題を出すと、瞬時に年長が『あっ!あれがいい!』と、道具置き場に駆け出していって迷わず手にしたのは、キリ。3歳児も普段使いこなしている道具のせいか、びっくりするほど手際よく全員自力で貫通させ、いとも簡単に飲み水をゲットしてしまった‼️(笑)。(むむむ、やはり森の子どもたちの力は、想像以上だ💕)。『じゃあ、キリがないときは、どうする?』と問いかけると、『ノコギリはどう?』『トンカチは?』『ノミでも開けられるかな?』『ナイフも?』『クギは?』…あらゆる道具で試してみる子どもたち。結局どれでも開けることができ、最後にはロープを取り出し、手を洗う時の工夫も考えるほど✨。森の子どもたちならではの、柔軟で素晴らしい発想と器用さ。いやいや、おそれいりました~。最後に『もし道具が全部なかったら?』のお題に、子どもたちは『うーーーん…』。そこで、スタッフが石にペットボトルを擦り付け、摩擦で開けるという大人技を披露。『おーーーー!』と子どもたちから称賛の声。何より、みんなでアイデアを出し合ったり力を合わせるというプロセスが、そして最後まで諦めずに色々やってみるという姿勢が、子どもだろうが3歳だろうが、あらゆる問題解決には大切だということがよくわかったね。そしてこのことは、環境問題しかり、社会問題しかり、どんなジャンルの課題に向き合うときにも共通するテーマだったりするんだよね。あって欲しくないけれど、あるかもしれない、いや、きっとあるという前提での万一の時の準備や心構え。それはつまり『正しく怖がる』ということ。平常時にこそ森でも各家庭でも確認しておきたい。

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