NPO法人かごしま子どもと自然研究所

順応性があるからこそ(子どもとコロナ)

2021/08/31

目に力なく、声に張りなく覇気もなく、何か萎縮した子どもたちの遊ぶ様子に愕然としたのは、7月下旬。世の中は、子どもたちのことより、オリンピックやワクチンのことで手一杯。ならば、『一生で一度』の夏休みは【子どもたち自身の手で】取り戻させる、そう決めた。
コロナで様々な制約やリスクがある中、対策をとりながら、森で、川で、海で、あの手この手で1ヶ月半。保護者が覚悟して背中をおし、ボランティアが支え、大学生が寄り添って。沢山の方々が共鳴し、それぞれの立場でお力添えくださった。根気強く、愛情深く、素敵な大人たちが、このコロナ禍、腹をくくって子どもたち一人一人と向かい合った。
8月最終週、その甲斐あって彼らの笑顔や底なしの好奇心が、すっかり戻った。日の出とともに目覚め、心から笑い、1日じゅう体を動かして思い切り遊ぶと、頭痛も腹痛も残飯も減った。自らゴミを拾ったり掃除し、知らない友だちとも和気あいあいうちとけ合った。じっくり考える姿勢、豊かな感受性も息を吹き替えした。簡単に泣かなくなった。失敗を怖れなくなった。本来の自分を、自分の可能性を皆が思い出した。この笑顔が何よりの証拠。子どもたちは、大人以上のストレスと厳しい環境をも乗り越え、この夏、一回りも二回りも成長した。
森でできることも、大人1人1人の力も限られているけれど、関わってくれた全員が、子どもたちのためにできる限りのことを精一杯やってくれた40日間。そのお陰で子どもたちがどれ程元気になったか、成長したかということと、その出会いに子ども自身が何か一生ものを実感している手応えがあった、森史上最高の夏休みだった。
子どもたちの順応性は凄まじい。いい悪い関係なく、どんな環境にもどんどん適応していってしまう。しかし、彼らはその環境を選ぶことはできない。子どもたちは健気にどんな大人の決定も受け止める。与えられる中で生きていくしかない。
9月からの彼らの生活と学びの場を、どう整えるか、大人がどんな覚悟を持って何を優先していくのか。子どもたちは、そのキラキラしたつぶらな瞳で、大人の選択と後ろ姿をじっと見つめている。

1人、甲殻類、アウトドア、、「Forte volontà svol Eroe della ITALIA Infinil」というテキストの画像のようです