NPO法人かごしま子どもと自然研究所

療育ふきのとう 休業のお知らせ(令和4年4月1日~)

2022/02/12

2017年(平成28年)12月に「森の療育ふきのとう」を森のようちえんの中に立ち上げて、早いもので5年が経ちました。屋外での療育は、全国的にも当時ほとんど前例がなく、スタッフとして迎え入れた作業療法士(OT)とともに、まさに施行錯誤の日々でした。しかし、倒木やツタといった自然素材は教具としての可能性が多いにあることは手ごたえがありましたし、何より子どもには魅力的なものであることも、森の子たちをみていれば明らかでした。実際、2年目には感覚統合学会で事例発表の機会を得ることができ、専門家からも大変注目いただきました。

 当初は、発達に凸凹のあるお子さまにフォーカスし、個別カリキュラムを重視していました。しかし始めてみると、集団で過ごす時間こそ、次から次へ化学反応が起きました。森の特徴でもある異年齢や斜め(高校生や大学生)の関係がさらに相乗効果を起こし、様々な個性がぶつかりこすれ合うことで、年齢や療育の関係なしにその子らしさが開花したり、健やかな心身や生きる力がぐんと育つ瞬間を、何度も目の当たりにしました。それは私たちにとって大きな気づきであり、時に感動的でもありました。

 思えば、療育を実践すればするほど、福祉事業という枠組みや森のようちえんの補完的役割を超え、森という環境がいかにすべての子どもにとって大切なものを育てるかといった、森のようちえんの【原点回帰】につながっていった気がします。森の「子どもを育む力」と「子どもは子どもの中で育つ」という再発見。森のようちえんとしても、大きな学びを手に入れたと思います。

 近年、全国の森のようちえんでも療育を取り入れる団体が増えてきており、また療育を屋外で実践する事業所が少しずつ開所していることは、孤軍奮闘の創成期から比べると、大変嬉しく心強いことです。当法人といたしましては、そのような状況も鑑み、2022(令和4)4月より、森のようちえん(幼児キッズクラス)が認可外保育施設へ移行する契機に、今後の療育の考え方、森のようちえん事業との関係について整理し再構築すべく、一旦療育事業を休止することと致しました。なお、5年間の振り返りは、「公にアウトプットする」ことで、ご評価やご意見を頂きながらまとめていくこととなり、来たる223日にZOOM座談会を予定しております。ご興味あるかたはぜひこちらへもご参加いただけたら幸いです。

 最後になりましたが、開設時よりご指導ご鞭撻を賜りました自治体ならびに関係事業所の皆さま、高い専門性をもって丁寧にアドバイス頂きました作業療法士の皆さま、常に伴走してくださった相談員の方々、多数ある事業所の中から当法人を選び長きにわたり通ってきてくださいました利用者の皆さまに、改めて御礼申し上げます。しばらくは当事者の立場から離れますが、今後も様々な団体が屋外における療育のノウハウや実践を積み重ね、共有し、必要としている子ども達へその機会が広がるよう切に願っておりますし、いつかまた、私どもも何かのお役に立てることがあるよう、引き続き精進して参ります。

なお、療育事業再開となります際は、当ホームページ等で改めてご案内申し上げます。

令和4214

管理者/児童発達支援管理責任者 市川 雪絵